前回の「出会って1週間のニューヨーカーと結婚した話 – アメリカ永住権取得までの険しい道のり」の記事の続きです。
いつもはワクワクしてニューヨークに戻るはずが、家も仕事も家族もないニューヨーク行きの飛行機は不安でいっぱいだった。今から僕はニューヨークに戻ったら仕事もない無一文のホームレス生活が待ってる。手元にあるのは会社のクレジットカードとアメリカ永住権だけ。当時は2万人をこえるフォロワーを持ってるインフルエンサーをしてたんだけど誰も僕がそんな生活をしてるとは思ってないだろうな。よくインフルエンサーで背伸びするのきついっていうけど本当にきつかった。SNSの僕と現実の僕が違いすぎた。
そして、ニューヨークの空港に着いた瞬間さらに現実に突きつけられた。
僕はどこに帰ればいい?
「いや、もう3年近く住んでるんだから英語も話せるだろうし、なんとかなるでしょ?」って思うかもしれないが、彼女が毎回翻訳してくれてたこともあって僕の英語力は全くついてなかった。
本当の意味で言葉もわからない場所でひとりぼっちになってしまった。
帰る場所がなくなった僕は野宿をしようと思ったけど、仲の良い後輩に相談したら「ソファーなら少しの間住んでも大丈夫ですよ」と言ってくれて寝る場所を手に入れた。30歳の当時僕の家は小さなリビングのソファーだった。本当に惨めで、情けなかった。毎晩寝ることが出来なくて、窓に映る月を見ながら「あー、綺麗だな…」と数時間見る夜が続いた。
当時の僕は手持ちはなかったのもあって、家を契約したくても契約できないのが現実。全くどうやって今後生き抜いていけばいい変わらない日が続いて、もう辛すぎてブルックリンブリッジで飛び降りて死のうと思って実際にブルックリンブリッジまで行ってしまった。飛べるか?と思ったけど直前に日本で大事故した時の母さんの顔を思い出してやめた。もし事故の経験がなかったら100%飛び込んでただろうなと今になって思う。
この頃には完全に鬱が再発してて、正しい破断ができなくなっていた。
そんな時にニューヨーカーの中で一番仲の良いJrがめちゃくちゃ助けてくれた。
今はニューヨークも大麻が合法化されたけど、合法化される前も大麻はニューヨークに何度も旅行に行っていれば目にしていた。なんなら23歳の時にDJをしていた日本人の人とルームメイトになった時は先輩は毎日吸いながら、音楽を爆音でかけてて、1ヶ月に数回に一緒にチルってたけどお酒を嗜む程度だった。
そんな僕が毎日チルするようになったのは離婚が原因だった。
自分の人生は彼女とずっと一緒に過ごすものと考えていたし、彼女に知らない間にがっつり依存してた。そんな彼女が手元から消えてしまって、自分の人生の先が見えなくなって、不安と現実に押しつぶされそうになった結果自殺しようとした。この鬱を抑えるには精神安定剤の薬を飲むしかないんだけど、その薬の入ったケースをJrは僕から奪って、ゴミ箱に捨てて「こんなの飲んだら薬に依存して、毎日これを飲まないといけなくなるぞ!こんな薬やめて、大麻を吸え」って言われて、彼が吸ってたジョイントを手渡された。
この日から彼は毎日連絡をくれて、彼の仕事が終わるタイミングで合流して、彼の友達たちと一緒にチルってた。今まで彼女と一緒にいる時間が長かったのが急にニューヨーカー(しかもイケてる)たちと一緒に時間を過ごすのが長くなって、大麻に関しても考え方が変わってきた。
大麻は僕にとってひとつのことに集中して、当たり前に思ってることを再確認するトリガーになるモノだった。
お金はなかったけど、借金をして大麻を買い続けた。気持ちを落ち着かせるためっていうのもあったけど、それ以上に自分の今後について本気で考えたかったし、どうすればお金もない状態から抜け出せるのか短期間で一気に抜け出せれるのか考えたかった。そんな生活を1ヶ月くらいしてたらフッと「もし家賃を払うのではなく、不動産屋のホームページを家賃代で払えないかな?」そんな無謀なことを考えるようになって、考えれば考えるほどイケる気がしたので知り合いの不動産を経営している友達がいたので、彼に「ホームページリニューアルするから5ヶ月間空いてる部屋を1つ貸して」と連絡した。
価値交換って現代人には馴染みはないけど「お金の歴史」はたかが1300年くらいしか歴史はなくて、その前は物々交換(価値交換)が当たり前だった。それは今でも実は同じでお金をもらっても会いたくない人は会いたくないし、お金を払わなくても会いたいと思う人もいる。つまり、個々が持つ価値がわからないから現金という共通価値な物を使ってるだけで、お金よりも価値があるものはたくさん存在する。
例えば今回僕は通常は5000ドル以上ホームページを作る場合は貰うんだけど、ホームページを作る代わりに余ってる部屋を同額の金額分の月日借りた。普通の人なら家賃代1000ドルを「時間」を使って稼がないといけないのに僕は「価値」を提供する代わりに住居を無料で手に入れた。この時に「価値」を「価値」で交換することが1番高い交換価値なことに気付いた。これが僕が「お金」という概念から抜けるきっかけだった。
そしてこの日から自分の価値をうまく使って、お金がかからない生活を始めるんだけどまさかたった月500ドルでニューヨークで生活をすることになるとはまだこの時は思ってもいなかった。
(次の記事:突然のニューヨークでホームレス生活が始まる – 月500ドルでニューヨークで生活を始める)
※この記事は2021/02/04に公開した情報になります。
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