タイに2週間前に戻ってきました。1ヶ月半ほどタイを離れて、日本でタイのビザ関係の手続きをしてたんだけど、日本は安定の「旅行で行くにはちょうどいい国」で”なんとなく生きていける感じ”の空気の中では生きてくのは苦手だなって改めて思った一時帰国だった。「刺激がない人生には興味ないんだろうな」って日本滞在中に思いながらタイに戻ったんだけど”違った刺激”が待ち受けていた。
何から話せばいいかわからないけど自分がタイにいない間、家がタイ嫁1人になるので長い親友が住み込みで一緒にいて、その後も長い彼氏と別れたから少しの間農作業を手伝いながら居候するって家に住んでたんだけど、まさかの新しく”別の親友”が家に住むことになった。
タイに戻ってから2週間が経つけど我が家にはタイ嫁の親友とレディーボーイがなぜか居候してる。しかも、1mmも彼らが何言ってるかわからないけど、なんか面白い。こんなニューヨークでやってたルームシェアみたいな結婚生活をタイでするなんて良い経験だわ。自分は中々"普通の人生"が過ごせないみたい
— Kei | 小さなニューヨーカー (@smallnycer) August 18, 2023
ある日、家にいるとタイ嫁が「今日は別の親友が地元に帰ってきて、家に遊びに来る」と言ってたので「この子は友達が多いな」程度に聞き流していた。そして、家の前に1台のバイクが止まって、1人の男性が歩いてきた。背は165cm前後の小柄でちょっと女の子っぽい仕草が特徴の田舎っぽい青年だった。
「彼は誰?」とタイ嫁に聞くと「レディーボーイ!彼のことはレディーボーイって呼んであげて!」と言われた。
「レディーボーイ」という言葉はタイで男性が女性として振る舞うトランスジェンダーの人々を指す際に使われる俗語です。
名前を呼ぶときに「レディーボーイ」なんて言葉で呼ぶのはなんかおかしいし、レディーボーイにしては女装などは一歳しない普通のタイの田舎の青年にしか見えない。そんなこともあって今まで一度も名前を呼んだことがないレディーボーイが今一緒の家に住んでいる。
そんな謎多きレディーボーイが家に居候し始めて数日後、庭の草むしりを手伝ってくれたことがあった。もう手がボロボロの自分からすると猫の手を借りたいほど疲弊してたので嬉しいばかりだった。そして、レディーボーイはGuuciのロゴがプリントされた光沢のあるパジャマとサンダル姿のまま作業を始めた。
まさかすぎるスタイルで草むしりを始めたから驚いてたけど、タイ嫁たちはなんも突っ込まないあたりからタイではよくある風景だから驚くだけ恥ずかしいことに気付いた。だけど、あれ絶対Gucciじゃないし、あの光沢のあるパジャマとサンダル姿で庭の草むしりをしてる姿は違和感でしかなかったが、これがタイスタイルなんだ。
さらに数日後、タイ嫁が車で外出中に部屋で仕事をしてたら横の部屋にいたレディーボーイが慌てて何か話しながら部屋の中に入ってきたことがあった。ちょっとビクッとしたけど、何を話してるのか全くわからないから焦りたくても焦れない。そう、レディーボーイは英語が全く話せないので会話が出来ない欠点があった。ちょっと落ち着いてから翻訳機を通して、出てきた文章に自分もビックリした。タイ嫁が交通事故を起こした。
タイ嫁から"すまん、事故った"って…タイで事故すると面倒?ってか、保険入ってるよね?入ってなくて結構ヤバいってオチないよね…? pic.twitter.com/SxSf2Jb7qg
— Kei | 小さなニューヨーカー (@smallnycer) August 9, 2023
「とりあえず今からタイ嫁の元に行こう」とバイクのエンジンをかけるレディーボーイ。その背中に身を任せる自分。タイ嫁の元に走りながら”もしレディーボーイがいなければタイ嫁の交通事故のことは知れなかったかも”と思うと感謝しかなかった。タイ語がわからない自分は何度もレディーボーイに「ありがとう」とだけ伝えた。
そういえばタイ嫁がお土産に持って帰ってきたUNOにハマってたことがあった。ルールが簡単で短時間で決着がつくのが良いらしい。そして、レディーボーイが家に来てからもUNOブームは去ってなくて何もルールを知らないレディーボーイを無理矢理UNOに参加させて、レディーボーイをボコボコにしたことがあった。そこでレディーボーイは”最後のプレゼント作戦”を思いついた。作戦内容は簡単でドロフォーを2枚以上集めて、最後はドロフォーで勝ち抜ける戦略。2枚持ってる時は仮に返されたとしても次にドロフォーで上がって、取り残された人へダメージが与えられる残虐性が好きだったらしい。
自分もこの作戦に何回も引っかかって、正直イラッとしたけどタイ嫁の大切な友達”レディーボーイ”が楽しいなら良いかと思うようになったし、それ以上にレディーボーイをボコボコにしたから全てを許した。
ファームでの農作業後に疲れ切った体へのご褒美ということで田舎の市場内にあるムーガタ屋さんでムーガタを食べに行ったことがあった。店に到着するとレディーボーイが店の前で立ち止まり、何かキョロキョロしてる。そして、席に着いた途端、タイ嫁に何か話をし始めるレディーボーイ。タイ嫁に聞くと入り口にいた席の男性が前遊んでいた男性らしい。「ってことは、彼もレディーボーイ?」と聞くと「私が開発しただけで普通の男子」と楽しそうに答えてた。
レディーボーイの話に笑ってる自分をクレージーに思うかも知れないけど、僕も「なんでレディーボーイが家に住んでるんだろう?」って思うことも何度もあった。だけど、何か理由があってレディーボーイは家がないわけだし、タイ嫁のストレスが少しでも減らせてるなら良い。だけど、余分なコストだけはかけないでね。
最後に僕はいまだにレディーボーイの名前を知らない。完全に聞くタイミングを失ってしまったが気付けばタイ嫁とガンジャ(猫)以外に長い親友が1人、レディーボーイが1人、知らない猫が1匹が一緒に住んでる状態になっていた。ここまでスムーズに馴染んでくると今更「君らは誰だ?」とは聞けない空気なってるし、最近では自分の寝巻きのTシャツとかも親友やレディーボーイも着始めてるくらいの距離感になっている。
元々ニューヨーカーの元嫁の身内にもLGBT当事者の人がいて、結構長い間一緒にいたから差別感覚はないけど、まさかタイ生活でもこんな身内にLGBT当事者が出てきたのには驚いたし、また一緒に住むレベルの近さの距離に現れたことにも驚いたが、もう馴染んでしまったものはしょうがない。
多分親友やレディーボーイの存在はタイ嫁のストレス発散になってるんだと思う。全く言葉が通じない場所に居続ける辛さは自分もよくわかるからこそ、レディーボーイや親友のように言語が通じ合う仲間がいるのは心強い。彼らの存在はありがたく思うが、最後にタイ嫁に言いたい。
もうこれ以上、住人を増やすなよ!
※この記事は2023/08/19に公開した情報になります。
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