前回の「波乱万丈な僕のチルい若い頃の話 – 初めてのニューヨーカーの友達」の記事の続きです。
目の前には急いでどこかに向かう人々と美しい星座が描かれた高い天井。どれもかもがジュリアンの実家付近とは全く違った。これぞ、都会!という言葉がピッタリな場所だなって思った。
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初めてグランドセントラル駅を見たときは感動した。こんな美術館みたいな駅が存在することに本当に驚いた。本当はもっとゆっくり見たかったけど、彼が僕の方をポンっと叩いて「よし、買い物に行こうぜ」と行って高級ブランドがズラッと並ぶ5番街でウインドウショッピングを楽しんで、ソーホーにニューヨークのお土産を買いに見に行った。当時からストリート系の服装が好きだった僕は雑誌で載ってるようなオシャレなニューヨーカーに出会うたびにニタニタしていた。僕は今でもだけど素敵な着こなしをしてるスニーカーヘッズを見るとニタニタする。
ソーホーをぶらぶらしてると彼が「おっ、あのグラフィティーカッコいいね!」って言った。
これが僕とグラフィティーの出会いだった。
日本でも街中の壁にスプレーで描かれたアートを見たことないですか?あれがグラフィティーアートというのですがニューヨークにはいろいろな場所にグラフィティーがあって、ソーホーにもたくさんあった。僕は初めて見たグラフィティーに何かを感じたのかブレイクダンスと出会った時みたいに引き込まれた。そんな僕の顔を見て「グラフィティー好きなの?すごいところ連れてこうか?」とニタっと笑って、地下鉄に一緒に向かった。
地下鉄に乗っていると地下の真っ暗な景色から急に外の明る景色に変わった。クイーンズに僕はいた。クイーンズから見たマンハッタンのビル群は美しく見とれていたら、目の前にグラフィティーに埋め尽くされた建物が見えた。衝撃だった。そんな僕を見て彼はまたニタっと笑った。地下鉄を降りるとクイーンズはマンハッタンとはまた違った静かさのある都会の外れって感じの場所だった。5分ほど歩くと急に目の前にグラフィティーで埋め尽くされた廃墟ビルが姿を表した。これは今は壊されてしまって消滅してしまったが、ニューヨークのグラフィティーアートの最高峰の場所「5 Points」だった。
人生で初めて言葉を失った。
グラフィティーって聞くと「落書き」という印象を持ってる人もいるかもしれないけど、僕には芸術作品にしか見えなかった。どこを見ても芸術性が高いペイントがされていて「こんなものがよく描けるな…」って呆気にとられているとすぐ近くに大音量の音楽を聴きながら、今から描くだろう下書きを書いている男性がいた。そんな彼を見て「あ〜、好きなことを仕事にしているって良いな…自分の人生とは大違いだな」ってフッと思った。本当はバイトしてたかもしれないけど、僕が興味あるジャンルでかつ好きなことで生きている人を初めて生で見た瞬間だった。
僕は憧れを持った。そして「僕もストリートアートを描きたいな」って本気で思って、友達の自宅に帰ったけど、その夜もなかなか寝られなかった。今までは親が決めた道を歩いてきた僕が”生まれて”初めて自分の意思で自分の人生の道を歩きたいと強く思った瞬間だった。
そして、日本に戻って人生を変えるために色々行動に移すことになる。
(次の記事:波乱万丈な僕のチルい若い頃の話 – 日本で狂ったデザイナー集団との出会い)
※この記事は2021/01/23に公開した情報になります。
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