もう8年くらいニューヨークでお世話になっている、ぶっ飛んでる先輩が日本からニューヨークに戻ってきた。普段はニューヨークに先輩はいないことが多くて、コロナ禍でも世界中を飛び回っている。そんな先輩はなぜかニューヨークに戻ってくるとすぐに「ワインを飲もう」と僕に毎回声をかけてくれる。
先輩との話は8割はくだらない笑える話だけど、2割は人生にかなり影響するような経験談をぶっ込んでくる。そんな時間が楽しくてしょうがない。そんな先輩がワインを飲みながら「仕事でコロンビア行くんだけど、Kei君もコロンビア行かない?」と言い始めた。しかも、出発は3日後。僕も今後やりたいプロジェクトの新しいアイディアが欲しかったし、なによりも先輩と一緒に行くことに意味があるんだろうなって思ったので2つ返事でOKした。
この日はワインを2本開けて、お開きになった。フッと寝る前にコロンビアのことを調べた時に初めて英語が通じないこと数年前に日本人が殺されてることなど色々知って少しビビった。今はそこまで危険な国じゃないってネットでも言われているけど、世界的にコロナが経済を殺した後の世界の危険度合いはネットからじゃ想像がつかなかった。
とりあえず生き抜くための必須アプリ、オフラインでも使える翻訳アプリをダウンロードしてから眠りについた。
それから3日間はコロンビアに今の仕事をなるべく持ち込まないように集中して仕事をした。そして、コロンビアに行く前日は小学校の遠足前並みにワクワクして寝れなかった。初の南米ってこともあったし、先輩と今から過ごす中で何が学べるのか、どれだけ成長できるのかが楽しみでしょうがなかった。
コロンビアへ旅立つ日。大きめのリュックサックに数日の着替えとパソコンを持って空港に行くと、WholeFoodsのエコバック1つで空港で待っている先輩がいた。正直、目を疑った。現地で服を買うと言っても、スーパーマーケットに行くレベルの手ぶら感。これぞ本当のノマドワーカーだって心の底から思った。
そんな話は置いておいて、飛行機の中は乗客で意外にもいっぱいだった。南米って遠いイメージがあったけど、意外にニューヨークから5時間ちょっとで到着。イミグレーションでは「コロンビアへ来た理由」と「宿泊するホテル」が聞かれたけど、特に陰性証明書を見せるなどの作業はなかった。
確かこの時は渡航レベル4で厳しいと思っていたけど、事前にオンラインで申請を済ましておけば、サッと入国出来た。
無事イミグレを通過して、コロンビアの通貨である「ペソ」を持っていなかったので空港の換金所で高手数料で換金して、Simを購入してスマホを使えるようにした。空港のSimは結構高いけど、夜でも店舗は開いてたし、すぐにUberやSNSが利用できるって考えればしょうがないって思った。とりあえずこれで「お金」と「スマホ」を手に入れた僕は結構安心していた。
こちらがコロンビアのエル・ドラド国際空港。この空港に到着したのが夜9時くらい。意外に人が多かったけど、空港にもスリが多いって聞いたから緊張感は切らさないように気を張りながら、Uberを呼んだんだけど…一向に来ない。しかも問題なのが、ドライバーに連絡をしてもコロンビア人の多くが英語がダメだから全く通じない。つまり、会話が出来ない。
…初っ端からホテルに行けない問題発生。
頭を抱えて悩んでたら横に女の人がタバコを吸ってたので、事前にダウンロードしている翻訳アプリで「Uberが来ないです。ドライバーと連絡をしてくれませんか?」と助けを求めたら、すごい優しい人で、すぐに電話をしてくれた。
「マジでありがたい…」と感謝の余韻に浸ってると女性の荷物の鞄の中を目で物色してる怪しい男が後ろにいた。すぐに女性に目線で後ろに誰かいることを伝えたら、後ろを振り返った。どうなるのかヒヤヒヤしてたら、その男が「タバコを1本売ってくれませんか?」みたいなことを言って、普通に何事もなかったかのように話し始めた。到着してすぐにコロンビアにいることを改めて再確認させられた。
無事Uberを発見して、ホテルに向かう。今回泊まるエリアはボゴダの「LA ESPERANZA」という東京で言う「銀座」みたいな場所(先輩曰く)なのもあって、少し安心していた。なんなら到着してすぐに近くのバーで飲むくらいならできるのかも?とも思っていたが、現実は違った。
誰もいない。
この時で夜の10時くらい。コロナの影響?それとも元から?よくわからないけど、とにかく人は誰もいない。噂ではコロンビア人は夕方にご飯を食べると聞いたけど、本当なのか?エリアによっては夜でも人が出ていたけど、平日は少ない場所が多いイメージ。
このホテルから数ブロック歩くとグラフィティーで埋め尽くされたエリアがあったのをタクシーから見た。コロンビアでグラフィティーが多いエリアは危ない場所が多く、僕が泊まったホテルの裏の道は夜はコロンビア人でも歩かないと聞かされていたので断念。
「どこが銀座やねん」という気持ちがあったけど、数ブロック歩くと危険なエリアに変わる場所は多いらしい。そんなことは分かっていながらもグラフィティー好きの僕はコロンビアの街中に溢れるグラフィティーを想像してワクワクしていた。
本当はすぐにでも散歩に行きたかったけど、その土地を知らないで夜歩くのは危険すぎるので、そのまま自分の部屋で先輩が空港で買ったウィスキーとフライト中に貰った炭酸水をシェアして、一杯部屋で引っ掛けて、ほろ酔い気分で寝た。
朝8時、外から入る光で目が覚めた。少し二日酔いっぽかったけど、眠たい目を擦りながら枕元にあるスマホからYoutubeを開いて、適当にスパニッシュの曲を選んで流した。運が良かったのか「Karol G」ってコロンビアのアーティストのチルイ曲が流れてきた。
想像以上に耳に優しい音楽で気持ちよく起きることができて、体を起こすためにホテル付近を軽く散歩した。
外に出ると昨夜とはうってかわって、ホテル前の大きな通りには人がたくさんいた。コロナに対しての意識が高いのか、ほとんどの人がマスクをしっかりしていた。個人的には日本人よりも意識高いかも?って思うくらい一人一人が対策をしている気がした。あと、アジア人が本当にいない。元々南米に行くアジア人が少ないのもあるけど、コロナでさらに渡航するアジア人は少なくなってるのもあるのか、本当に遭遇しなかった。
だけど勘違いしてほしくないのは、だからと言ってアジア人差別があるわけではない。逆にフレンドリーすぎて怖いくらいコロンビア人は優しいです。そんな人の優しさにも感動したのですが、もう1つ感動したのが物価の安さ。
超高級フレンチが1万円ちょっとで食べれるって噂を聞いて、「elcielo」に行って来ましたが、レベル高すぎる。店内は壁が緑で生い茂ってて、天井も高くて、気持ちが良く、料理もワインも最高に美味しかったです。インスタでは紹介しましたが、料理の提供の仕方もクリエイティブで新しい発見がたくさんありました。コロンビアに行くなら高級レストランを巡るのはかなりアリ。
どこのレストランか忘れたけど、このレストランも店内がめちゃオシャレだった。僕が宿泊していた「LA ESPERANZA」のエリアは小洒落た高級感あるレストランが結構あって、どのレストランも味も雰囲気もハズレ無しって感じ。それで安いんだから、毎日外食しちゃうよね。
特に気に入ったのが「Sorella」っていうイタリア料理レストラン!全てが美味しくて、安かった。
もちろん、コロンビア料理も食べました。先ほどの高級レストランとは真反対の、どローカルなレストランにも色々食べに行きましたが、僕はトウモロコシが苦手なので、とうもろこしを主にしてるコロンビア料理は食べれなくて、唯一この鶏肉のスープは食べれました。塩っけが強くて、お酒には合うし、美味しいのですが、塩分が多分相当高い…そんなことを思ってたら横の人はさらに塩を入れて食べていました。コロンビア人は塩分が高い料理が好きみたいです。
評価の高いラーメン屋「TOMODACHI」のラーメンも食べたけど「このレベルで、この金額…強気だな」というのが第一印象。色々な理由が背景にあるかもしれないけど、それでも全然日本のラーメン屋が進出したら勝てるのでは?と思ったら、先輩も同じことを思ったらしく、本気でラーメン屋をやろうか悩んでた。
「もし店やったらKei君、店長やる?」と言われたので秒で断りました。
僕はニューヨークが好きなので、ニューヨークにいます。
僕はアートが好きでニューヨークでも毎週どこかしらのギャラリーか美術館に足を運んでいる。僕にとってアートを見るのは色々知らない世界を学べるからで、コロンビアでもギャラリーか美術館に行きたかったから1人で色々な場所に行った。ちなみに交通手段のUberは運賃は数ドルと安すぎるから、どこに行くのもストレスフリー。
色々なギャラリーに行ったけど、個人的に好きなのが「Cilto Gallery」。このギャラリーではコロンビア出身のアーティストの作品もお手頃価格で売られて、素敵な作品が多かった。目利きが良いと数年で化けるアーティストも見分けられるけど、コロンビアの情報が頭の中で無さすぎるから今回は良い作品が何点かあったけど見送った。
事務所の中にも入れてもらったけど、26歳のコロンビア出身の女性が絵が良かった。名前を聞けば良かったと今となっては思うけど、初めて見るコロンビアのアートの世界が楽しくて、説明を色々聞くことに気持ちが完全に向いていた。
あとギャラリーや美術館の館内にあるギフトショップを見るのが好きで回った。コロンビアとかどんな商品が売られているか想像もできなかったけど、コロンビアの最先端を走るギャラリーには素敵な商品があったし、美術館も歴史を感じれる商品があった。今回も個人的に素敵だなと思う商品を何個かお土産に購入した。
今回のコロンビアの旅ではギャラリー中心で回ってたから美術館にはあまり行けなかったけど、「コロンビア国立博物館」には行った。この規模で入場料1ドルとか安すぎる…この博物館は1823年に構築され、アメリカ大陸で最も古い国立博物館として有名な博物館で、コロンビアの歴史を知るには十分な場所だった。
あとボテロの美術館もあったけど、あまり興味がないので今回はスルーしました。
アンティーク系のビンテージショップも意外と多かった。ニューヨークのビンテージショップとはまた違った感じで目新しかったし、コロンビアの文化が感じられる商品もたくさんあって色々勉強になりました。
マリア様系の商品で良い物があったけど、コロンビアでは国外に宗教系の物は持ち出しちゃいけない決まりがあるらしく、断念。代わりにギャラリーのギフトショップで購入したイエス様がデザインされた靴下を買って、履いて飛行機に乗ったけど、特に没収ということはなかった。
あと個人的に嬉しかったのが日曜日にウサケンのエリアで開催されているフリーマーケットでニューヨークだと数百ドルは普通にするクオリティーのパナマハットを格安で購入できたのは嬉しかったのと、ギャラリーのスタッフに教えてもらった「St.Dom Bogotá」ってセレクトショップで購入した麻の変形アウターはかなり新しいデザインで、良い買い物をしたと久しぶりに実感した買い物だった。
アクセサリーも何点か購入したけど、格安過ぎてビックリした。ボゴタはお店に寄ってレベルが全然違うけど、良いお店が見つけられるなら買い付けをしても全然売れるレベルの商品が多かった印象。
「どうやってこういうお店を探してるんですか?」と聞かれることが多いけど、僕は海外に行ったら現地の人に声をかけて、おすすめのお店を教えてもらうようにしている。この方法はかなりおすすめで、声をかける人を間違えなければ高確率で期待に応えてくれるお店と出会うことが出来るから是非海外に行った際はトライして欲しい。
グラフィティーは僕の青春が全部詰まってるって言っても過言ではない大切な要素で、コロンビアがこんなにもたくさんのグラフィティーで溢れかえっているとは想像してなかった。正直ニューヨークにもグラフィティーがいっぱいあるから、多少あったとしても驚くことはないと思っていたけど、想像を遥かに超える量のグラフィティーが描かれていた。
ニューヨークでグラフィティーが描かれているエリアは危ないエリア”だった”場所が多く、今は前ほど危なさは感じない。だけど、冒頭にも書いたようにコロンビアでグラフィティーがたくさんあるエリアは危ないエリアの場合が多い。
そんな危ないエリアに美しいグラフィティーが描かれているのを見つけると見たくなる自分がいるから困る。
夜は歩きたくないけど、昼なら歩けるって思って結構色々な場所を探索しました。最後の日は朝散歩と題してインスタライブをしながら全く知らない場所へどんどん歩いて行きましたが、ライブ中にも言ったように普通の人は行かないように。
僕は海外慣れしてるし、危険察知能力も高いからまだ歩けるけど、海外慣れしてない人は明るい時間でも人気がいない場所は歩かないほうがいいです。それくらい場所によっては明るい時間でも変な空気があるので歩く際はご注意下さい。
実は仕事でコロンビアに行ってた????????インスタを見てた人は知ってるけど、初南米は今までの旅行で1番波瀾万丈で本気で疲れた。だけど、この疲れはそれだけ吸収する物が多かったからで、改めてネットと体験から得られる経験値は比べ物にならないと感じたし、やっぱり”辛い旅”から学ぶことは多いですね〜 pic.twitter.com/PQTNEReFs4
— Kei | 小さなニューヨーカー (@smallnycer) August 29, 2021
実は今回のコロンビアの旅は人生で一番過酷でした。ブログで全部書こうと思ったら長編になるから割愛するけど、自分の中の色々な考え方が大きく変わったのも実感した最高の旅でした。やっぱり”辛い旅”から学ぶことは多い。
パブリックに話せる内容だと「お金の盗難」を経験した。今回使えるお金は全て含めて10万円と決めていた。正直物価の安いコロンビアで1週間前後なら全然過ごせる…と思っていたけど、6万円近くをホテルの部屋の中で盗まれた。多分クリーナーだろうけど、証拠もないし、星4つのホテルだから大丈夫と思った僕が馬鹿だった。
これは体験レベルで言うと100段階で言うと10レベルくらい。80レベル越えのトラブルを数回経験した辛い旅だったけど、これはオフレコ。また僕に遭遇する機会があれば聞いてください。お酒が入ってれば話すかもしれません。
コロンビアでは仕事をしても数万円の月給で、海外に行こうものならビザの壁がある。日本はアルバイトでも数十万稼げて、ビザも不要な国ばかり。”日本人で生まれただけで勝ち組”ってよく言うけど、お金とビザで悩んでる彼らを見ると日本人はもっと自分達が持つ恩恵を知った方がいいのでは?と本当に思う
— Kei | 小さなニューヨーカー (@smallnycer) August 29, 2021
お金を取られたことをきっかけにホテルのスタッフと仲良くなって色々話を聞いたら、階級によるけど一般的なコロンビアの平均月収は数万円って聞いてビックリした。レストランだったら時給1ドルなんてのもザラにあるとか。そんな給料じゃ海外旅行に行ける人も限られるし、なんならお金があってもビザの問題で海外に行けない人も多い。
そんな話を聞いてたらビザなしで世界中行ける日本人で生まれたラッキーさと日本ならアルバイトでも数十万稼げる環境があることに感謝しつつも、どこか今のコロンビアと日本が被る部分があって、日本へ将来的な不安も感じた。
例えばコロンビアの星4つのホテルは4000円あれば宿泊できるが、日本でも4000円あれば泊まれるクオリティーの高いホテルはたくさんある。ご飯にしても500円でしっかり食べられる場所も日本にはある。発展途上のコロンビアと発展し終わった日本の今で重なる部分があるっていうのはどういう意味か改めて考える瞬間でもあった。
国自体が持つ「価値」は時代と共に確実に変動している。
スペイン語を少し勉強したけど、知らないことだらけで本当楽しかった!どんな人の身の回りにも「新しい体験」が出来る場面はたくさんあるけど、「普段の生活」とかけ離れてるほど「体験する楽しさ」が実感出来る。久しぶりに新しい体験をすることの楽しさを感じました。世の中は知らないことで溢れてる
— Kei | 小さなニューヨーカー (@smallnycer) September 1, 2021
あとは僕自身が久しぶりに「新しい体験をすることの楽しさ」を感じれたのは大きな収穫だった。
ニューヨークは刺激がありすぎるから新しい体験をしようと思っても、実際に行動に移るまでの刺激ある体験って少ない。刺激慣れ?なんて贅沢な言葉を使ってしまうが、慣れている自分もいた。だけど、今回久しぶりにビビッと何かが体を走った。
新しい体験をし続ければ「経験」が増える。老後なんて体が動かないからこそ、「思い出」に浸るくらいしか楽しみはない。そんな当たり前のことを忘れていた自分がいたけど、今回のコロンビアの旅で完全に取り戻しました。これが僕の今回の旅の1番の収穫でした。
初の南米は確かに危ない経験もたくさんあったけど、それ以上に人の良さ、文化の素晴らしさを感じました。また来年も行けたら良いなって思える素敵な国だったと改めて思ったので、スペイン語を勉強して、また来年行こうと思います。
※この記事は2021/09/04に公開した情報になります。
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